今回は、2022年3月19日(日本時間では3月20日)に開催される『Glory 80』でティファニー・ヴァン・スースト選手(アメリカ/Tiffany Van Soest)と対戦する小林愛三(NEXT LEVEL渋谷)選手にインタビューしてきました。
小林は、初代RISE QUEENフライ級王者、WPMF女子世界フライ級王者、初代ムエタイオープン女子フライ級王者に輝いていますが、これまでの道のりが順調だった訳ではありません。2015年12月に『BOM The Battle of Muaythai 10~ The 10th anniversary tournament ~』でプロデビューを飾った後、順調に戦績を重ね、2018年7月に『SHOOT BOXING Girls S-cup ~48㎏世界トーナメント2018~』でイリアーナ・ヴァレンティノに敗北を喫するまで、無敗を誇っていました。その後も勝ち星を上げていきますが、暫定王者として臨んだ『RISE144』では田渕涼香にまさかの敗北を喫するなど、紆余曲折の選手生活を送っています。
本人も「肝心な時にやらかしちゃうんですよね。」と語ります。しかし、初の敗戦を喫したイリアーナにしろ、その後の田渕にしろ、きちんとリベンジを果たしているのも、彼女の面白いところです。
その原動力となっているのが、負けん気の強さです。ドラマやアニメではリベンジを果たすのが当たり前のようになっていますが、現実にはそうはいきません。リベンジマッチを組んでも、やっぱり負けてしまったというのは良くあることです。しかし、小林の場合には、きちんとリベンジを果たしているというのが他の選手とは違うところです。「私の場合、この野郎ってのがあるほど、爆発できるタイプなんです」と話しています。この負けん気の強さが原動力になってきたと言えます。
きっかけはふくらはぎを褒められたから
そんな小林がキックボクシングを始めたきっかけは、ふくらはぎを褒められたからというもの。当時専門学校に通っていた小林がダイエットがてら体を動かせるところを探していた時、フォルティス渋谷に見学に行きました。「通っていた学校と自宅の間にあったからちょうど良かった」、「無料体験だけ受けて帰るつもりでした」と話しますが、そのクラスでふくらはぎを褒められました。
元々、小林は小学生の時からバレーボールをやっていて、体に筋肉がついている状態。ふくらはぎはコンプレックスだったと言います。そんなコンプレックスを活かせるスポーツがあるということでキックボクシングにはまっていきます。
フォルティス渋谷には、女子選手が多く在籍しており、それが彼女のプロデビューへとつながっていったとのことです。グレイシャア亜紀選手や大島椿選手、紅絹選手といったチャンピオンにもまれて練習していく中で、毎回悔しいという気持ちになっていきます。チャンピオンを相手にするのですから、敵わないのが当たり前と言えば当たり前ですが、その環境で小林は力を伸ばしていくことになります。
小林はNEXT LEVEL渋谷に移りますが、グレイシャアなど、フォルティス渋谷に在籍していた時と同様、女子のチャンピオンに囲まれての生活は変わりません。チャンピオンが身近にいる環境だったので、「チャンピオンベルトを巻いている自分が想像出来た」とも語ります。「イメージが出来ると全部体現できるタイプなんです」と語るように、その後チャンピオンベルトを巻くことになります。
自分のペースに巻き込んでいく
そんな小林がヨーロッパに乗り込み、『GLORY』というキックボクシングの大舞台でティファニー・ヴァン・スースト選手を相手に試合を行うことになった。しかも、この試合は彼女の持つベルトに挑戦するというもの。
試合への対策については、まだ試合まで日があるということもあって、「まだまだ調整中」と語っていました。相手については、「キックの集大成じゃないけど、みんなが理想とするような動きをしてる」、「テクニシャンというか、トリッキーな動きもするし、運動神経良いなって」、「リズムに乗せるとヤバそう」と語ります。「これまで戦った選手に似ている選手はいますか?」という質問には、「寺山日葵選手と田渕涼香選手を足して2で割った感じ」とのこと。
ただ、そこに攻略点を見出してもいるようで、「最初から自分のリズムでいくのが大事だなって思ってます」と。ティファニーが敗れた試合について、「リズムを取り切れてないというか、合わされちゃったり、ずらされちゃってる」と語り、リズムをどちらが握るかが重要と話します。
ただ、小林のやり方は、「自分のリズムを崩さない」というもの。「自分が相手を崩そうとしても、操ったりするのは無理」、「データをもらって対策はするけど、自分のリズムだったり戦い方を強めていくしかない」とあくまで、自分のスタイルを崩さないようにするのが勝負のカギと語ります。
日本人が凄いんだということを見せていきたい
『GLORY』でのタイトルマッチという大勝負に抜擢された小林。小林が主戦場とする『RISE』は『GLORY』だけでなく、『Enfusion』とも提携し、海外との連携を強化しています。総合格闘技では、海外に進出する日本人選手も出てきていますが、小林はどうなのかというと。
「試合には行きますけど、NEXT LEVELから離れるつもりはないです。」ときっぱり。今の環境が一番自分に合っているという小林。
武者修行などでの海外進出については、「この先もしかしたら外の刺激が必要になるかも」と語り、可能性はあると言っているが、あくまでも日本、現在の環境を軸に考えていきたいと話します。
しかし、海外での試合については「日本人が凄いんだぞっていうのを見せていきたいですね。」と今後も続けていきたいと語ります。
「『Glory』で勝って、『試合をしたかったら日本に来て下さい』と言いたいですね」と語ります。今回、小林選手は敵地に乗り込み、しかも相手は『Glory』のチャンピオン。アウェイで試合をすることについては、「気にしない」と語ります。ただ、「ヤフーコメントやYoutubeで、「負けちゃったけど、内容的には勝ってた」って言われるのが一番悔しい。」と語り、意地でも勝利をもぎ取ると決意を示しています。
キックが人生の全てじゃない
人間関係やしきたりなど、日本の感覚が苦手とも語る彼女。今回の試合では「日本の感覚とは違う自由さ」を体験したいと語ります。選手によっては、他の選手とのコミュニケーションをためらわない人もいますが、小林選手は「苦手」と語ります。
特に同じ階級の選手は対戦相手として意識してしまうとのことで、食事をしていても、対戦モードに入ってしまい、「緊張します」とのこと。
小林選手にとって、キックボクシングとは「リングの上でどう相手に向き合うか」というのが重要。「リングの上で殴り合って分かり合える」みたいなものがあると思うんです。喋るよりも、リングで向き合う方が相手を理解できるというのが彼女の考え方です。
そんな小林選手ですが、今後については良く分からないと語ります。これは引退を考えているとかそういうことではなく、キックボクシングはあくまでも彼女の一部であって、それだけが人生とは考えていないということです。「仕事をして、結婚、好きなことをしていきたいです」と、自分の人生を楽しんでいきたいと前向きに語ります。
「1年後にはまた違うことを言っているかもしれません」と話しますが、今後も前向きに向かっていくのは間違いなさそうです。
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