今回は木村萌那選手にインタビューをしてきました。「プロなんだから魅せて当たり前」。木村選手の取材で感じたのはそのストイックさです。プロ格闘家とはどうあるべきか、彼女は「リングに立つだけじゃなくて、観客にアピールしたいんですよね」と語ります。リングに立って魅せる試合をするのは当たり前、髪型やコスチュームなどもこだわります。
そんな木村選手が格闘技を始めたのは4歳の頃でした。空手に打ち込み、長らく前蹴りを武器に戦ってきました。しかし、「前蹴りばかりでは接近戦で何もできないんですよね」と限界を感じます。そこで親の勧めもあり、パンチを磨くためにボクシングを始めました。その後はボクシングの魅力に惹かれていきます。ボクシング経験は今も木村選手に息づいています。彼女は今もボクシング選手たちのスタイルを学びます。アンディ・クルスやジャーメル・チャーローら世界的ボクサーの動きを研究し、自らの戦い方に落とし込んでいると言います。
大学進学を機に上京します。そして、学業の傍ら、アルバイトでトレーナーをしていました。「地元に帰ろうか」と迷っていた時、ジムの会長から「プロでやってみないか」と声をかけられました。それがプロ選手になったきっかけです。
◆ 「モナワールド」誕生
過去の試合を振り返ってみると、デビュー戦の記憶はほとんどないと言います。緊張で頭が真っ白になり、「気づいたら戦って、気づいたら終わってたんですよ」。デビュー戦は2024年11月16日Krush.167で萩原愛選手を相手にKO勝利を収めている。
本人曰く、プロ意識を持つようになったのは2戦目とのこと。2戦目は2025年1月26日(日)Krush.170でYuka☆選手を相手に判定勝利を収めている。この試合は「勝ったけど、自分に納得がいかない。プロとしてこれでいいのかって」と悩みます。この試合をきっかけに「勝つだけでなく、どう魅せるかが大事だなって考えるようになったんです」と心に刻んだ瞬間でした。
この頃から「試合だけでなく、リング外でも魅せる」ことを強く意識するようになりました。髪型やコスチュームにもこだわり、可愛らしさを前面に押し出したスタイルを貫きました。「めっちゃ可愛くて、めっちゃ強い選手になりたいです」。彼女の目標はシンプルですが、意識の高さをうかがわせます。
こうして誕生したのが「モナワールド」という言葉です。取材の場でふと口にしたフレーズがファンに広まり、やがて代名詞となりました。街で声をかけられると「モナワールドさんですか?」と聞かれることも増えたと言います。MONAWORLDという言葉は海外ファンにも浸透しており、SNSでは海外からも多くの人に支持されています。
「格闘家は見てもらえないと輝けない」。そう語る彼女は、SNSにも積極的に取り組みます。「他の選手を参考にしてますか?」と聞くと、「負けず嫌いだから、同業者を参考にしたと言いたくないんですよ」といいます。インフルエンサーなどのSNSを見ながら勉強し、TikTokやInstagramで日常や練習風景を発信し、ファッションやメイクを通じて若い女性層から支持を集めています。
◆ チャンピオンは始まり?
「今後の目標は?」と聞くと、首を傾げながら悩み始めます。「チャンピオンになるのも目標なんですけど」と言いながら、チャンピオンになるだけが目標とは言いません。このインタビューが行われる直前、Krush.179で池内紀子選手がソフィア・ツォラキドゥ選手に敗れ、王座が海外選手に流出しました。今後タイトルマッチが視野に入ってくると思いますが、「チャンピオンは通過点なんですよね。大事なのは負けないことですし、“可愛くて強い”自分を魅せ続けていかないと」とチャンピオンになってからが始まりだと言います。今後、MONAWORLDがどこまで行くのか、本当に楽しみです。